こんな症状に気付いたら、できるだけ早く近くの動物病院までお連れください。
・歯茎や舌の色がいつもより青白い(貧血、ショック状態)
・呼吸の回数が多い。胸やお腹がいつもより大きく動いてる(呼吸困難・胸水や肺水腫など)
・まっすぐ歩けないでふらつく(神経症状)
・背中の皮膚をつまむと、いつもより戻りが悪い(脱水)
・耳を触ると、普段よりかなり熱く感じる(発熱)
・病状がどんどん進行し、悪化している
嘔吐
胃腸炎
細菌やウイルスによって起こります。下痢を伴うこともあります。症状が続く場合や嘔吐物に血が混ざっていたり、下血を伴ったりする場合には早急に診察を受けてください。また、子犬の場合も早めに診察を受けることをおすすめします。
膵炎
膵臓の炎症によって起こります。頻繁に嘔吐し、お腹の痛みが強いためかなり痛がります。重症になるケースが多いので、早めに診察を受けましょう。
腸閉塞
誤食した異物や腫瘍などで腸管が閉塞します。通常、下痢は伴わず頻繁に嘔吐するのが特徴です。嘔吐物に便の臭いがしたり、緑色の液体を吐いたりした場合には、早急に診察を受けてください。
食道梗塞・食道内異物
ボールやおもちゃなどの異物、そしてジャーキーやリンゴなど大きな食物が食道に詰まることで起こります。下痢は伴わず、透明な液体や白い泡状のものを吐出し、放置すると食道が壊死して穴が開いてしまうこともあります。できるだけ早く診察を受けてください。
胃拡張胃捻転症候群
胃が拡張して捻じれることで起こります。典型的な症状は、お腹が急にふくれて、吐く動作をするのに何も出てこないといったものです。大型犬に多くみられますが、ミニチュア・ダックスフンドやシー・ズーなどの小型犬にも起きることがあります。症状に気付いたら早急に診察を受けてください。
慢性腎臓病
腎臓の機能が落ちると血液中の老廃物を尿中に排泄できなくなります。初期症状としてはお水をよく飲んでおしっこの量がいつもより増えます。徐々に進行してくると食欲低下や嘔吐をするようになります。尿毒症の状態まで進行すると口からアンモニア臭がするようになり意識レベルが低下し、明らかに様子が異なります。慢性腎臓病はできるだけ進行させないようにすることが重要ですので、上記の初期症状がみられた場合は、早めの受診をおすすめします。
中毒
中毒物質を摂取して吐き気が出たり、胃腸が荒れて吐いたりすることがあります。腎不全や肝不全を起こした結果、嘔吐することもあります。中毒物質を摂取した場合はできるだけ早く診察を受けてください。早期に催吐処置を行うことで中毒を回避することができます。摂取してしまった物質の種類によっては吐かせなくてもよい場合がありますので、まずは当院までご連絡して下さい。総合感冒薬、消炎鎮痛薬、シップ、抗うつ剤など人間用のお薬で中毒を起こしていることがよくあります。保管場所にはご注意ください。
下痢
感染性腸炎
細菌やウイルスなどによって起こります。症状が続く場合や下血が見られる場合には診察を受けるようにしてください。また、子犬の場合は症状が続かなくても早めに診察を受けてください。
炎症性腸疾患
免疫の異常やアレルギーなどによって起こり、慢性的な下痢で体重の減少がみられることもあります。体重の減少や、お腹がふくれてきた、体がむくんでいると感じたら早めに診察を受けてください。
消化管腫瘍
腸にできた腫瘍の影響で慢性的に下痢をすることがあります。慢性的な下痢や便に血が混ざっている場合には腫瘍の疑いがあるため診察を受けるようにしてください。
水をよく飲む・尿が多い
慢性腎臓病
腎臓の機能が落ちると血液中の老廃物を尿中に排泄できなくなります。初期症状としてはお水をよく飲んでおしっこの量がいつもより増えます。徐々に進行してくると食欲低下や嘔吐をするようになります。尿毒症の状態まで進行すると口からアンモニア臭がするようになり意識レベルが低下し、明らかに様子が異なります。慢性腎臓病はできるだけ進行させないようにすることが重要ですので、上記の初期症状がみられた場合は、早めの受診をおすすめします。
子宮蓄膿症
子宮が細菌感染して膿が溜まる病気です。症状のひとつとして、水をよく飲むようになることがあります。その他、会陰部の腫脹や陰部からの排膿、元気や食欲の低下、嘔吐などの症状があります。未避妊の中~高齢犬に多く、発情の1~2ヶ月後に起こりやすいため、この時期に上記の症状がみられたら注意が必要です。放置すると重症になってしまいますので、早めに診察を受けるようにしてください。
糖尿病
膵臓からインスリンが出なくなることによって血糖値が上がる病気です。水をよく飲むようになる、体重が減ってくるなどの症状があります。多くの場合、インスリン治療が必要になりますので、疑わしい場合には血液検査を受けてください。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎という臓器からホルモンが過剰に出る病気です。水をよく飲む、お腹が張ってくる、皮膚が薄くなり毛ヅヤが悪くなるなどの症状があります。また、糖尿病や血栓症を起こしやすくなりますので、疑わしい時には早めに検査を受けてください。診断には血液検査が必要です。
咳・呼吸が苦しげ
気管・気管支炎、肺炎
主にウイルスや細菌に感染して起こります。咳や発熱のほか、浅くて速い呼吸、胸を大きく動かす努力性の呼吸などの症状があります。咳がひどい場合、また呼吸がいつもと違う場合、粘膜が紫色になっていないか確認してください。紫がかっていたらチアノーゼを起こしている可能性があります。早めに診察を受けてください。特に子犬や老犬では重症になることも珍しくないので注意が必要です。
気管虚脱
本来は筒状である気管がつぶれてしまい、空気の通り道が狭くなって呼吸しにくくなります。アヒルが鳴く様にガーガーという呼吸音がするのが特徴的な症状です。その他、咳やゼーゼー喘鳴音がします。軽度の場合は涼しい場所で安静にして様子を見ますが、症状がひどい場合やチアノーゼを起こしているときには早めに診察を受けてください。
軟口蓋過長症
軟口蓋という上あごの奥にある軟らかい部分が伸びることで、息を吸うときに気道を塞ぎ、ガーガーという呼吸音がします。重症になると興奮時に呼吸困難になり、粘膜が紫色になるチアノーゼを起こすこともあります。短頭種のパグ、ブルドッグ、シー・ズーなどに多くみられ、チワワやヨークシャー・テリアなどにも起こります。軽度の場合は涼しい場所で安静にして様子を見ますが、チアノーゼを起こしているときには早急に診察を受けてください。
逆くしゃみ
突然ブーブーと大きな音を鳴らして息を吸い続ける症状で、小型犬や短頭種に多くみられます。数十秒すると何事もなかったように元気になります。症状に気付いた際にはあまり刺激せず、落ち着くのを待ってください。もし、粘膜が紫色になるチアノーゼや気絶するなどがあった場合には、気管虚脱や軟口蓋過長症など、他の疾患の可能性もあります。必ず診察を受けてください。
心疾患
犬でよくみられるものには、左心室の血液が左心房へ逆流することを防ぐ役割をしている僧帽弁という部分が変化を起こし、その機能が低下してしまう僧帽弁閉鎖不全症というものがあります。病気の進行にともなって、痰を吐く様な咳や浅く早い呼吸など呼吸の仕方に変化が現れます。呼吸困難や、粘膜が紫色になるチアノーゼを起こしている場合は至急診察を受けてください。
犬糸状虫症(フィラリア症)
蚊が媒介する犬糸状虫(フィラリア)に感染すると、心不全や、肺の血管が詰まったり狭くなったりなどで咳や呼吸困難などの症状が現れます。その他にも腹水がたまってお腹がふくれてきたり、赤い尿が出たりすることもあります。症状がみられた時には病気が進行しています。早急に診察を受けてください。
胸水
胸の中に液体が溜まります。肺が膨らまなくなるのでうまく呼吸ができなくなり、胸を大きく動かし呼吸するようになります。原因には、心疾患、腫瘍、炎症などがあります。進行により呼吸ができなくなる可能性がありますので、早めに診察を受けてください。
気胸
胸の中に空気が溜まっています。溜まる量が多いと肺が膨らまなくなり、胸水と同じように呼吸困難につながります。交通事故などによる外傷が主な原因ですが、腫瘍や肺炎が原因で起こることもあります。呼吸困難を起こしている場合は早急に診察を受けてください。
横隔膜ヘルニア
横隔膜は胸とお腹を隔てている部分です。ここに穴が開くと、お腹の内臓が胸の中に入ってしまいます。交通事故などの外傷により発生するのがほとんどですが、生まれたときから横隔膜が欠損している場合も稀にあります。症状は苦しそうな呼吸ですが、生まれたときから欠損している場合には明らかな症状が出ないこともあります。呼吸困難を起こしている場合には早急に診察を受けてください。
熱中症
夏場に限らず、高温多湿な場所に長くいると熱中症になります。熱中症を起こした犬は、体温を下げるため「ハッハッハッ」と浅くて速い呼吸(パンティング)をします。パンティングがみられた場合には熱中症の可能性があるため、早急に涼しい場所で体を冷やして水を与え、安静にしましょう。症状が治まらないときには命にかかわることがあります。早めに診察を受けましょう。
耳を掻く・耳が臭い
外耳炎
外耳道に炎症がおこる病気です。原因としては、細菌・マラセチア(真菌)・寄生虫の感染やアレルギーの症状として出る場合もあります。耳を痒がって引掻いたり、頭を振ったりすることから気付く場合は多く、耳の穴に耳垢が溜まったり、進行すると膿が出ることもあります。定期的に耳の掃除をしても治らない場合には、診察を受けてください。
疥癬
穿孔ヒゼンダニの感染によって起こり、全身の皮膚に感染しますが、特に耳介やかかとなどによく症状が現れます。感染すると強い痒みと共に脱毛し、フケやカサブタが確認できます。人にも感染しますので、疥癬が疑わしい場合には必ず診察を受けるようにしてください。
耳疥癬・耳ダニ
耳ヒゼンダニというダニの寄生によって起こります。特徴として、とても強い痒みと黒い耳垢が多量に現れ、特に子犬に多い病気です。黒い耳垢が多量に出るときには、耳ダニがいないか顕微鏡で検査してもいましょう。
耳血腫
耳介の軟骨と皮膚の間に血様液が溜まる病気です。外耳炎起こしたことで耳を掻いたり、頭を振ったりした結果、また免疫疾患として発生するとも言われています。治療は耳の痒みを起こしている病気を治療し、あわせて溜まった液体を抜いてあげる処置が必要です。放っておくと耳介が大きく変形してしまいますので、早めに診察を受けてください。
皮膚を掻く・脱毛
膿皮症
細菌感染による皮膚炎です。皮膚に発疹が出たり、カサブタのような痂皮がくっついたりして、痒がることが特徴です。治療はシャンプーや抗生物質の内服です。シャンプーで治まらない時には必ず診察を受けてください。
マラセチア性皮膚炎
マラセチアという真菌による皮膚炎です。皮膚が赤くなり、痒みもあります。腋や下腹部、指の間等に起こりやすく、特有の体臭もあります。治療は抗真菌成分の入ったシャンプー、抗真菌薬の内服です。シャンプーで治まらない時には必ず診療を受けてください。
皮膚糸状菌症
土や感染動物等から感染する皮膚糸状菌という真菌により起こり、フケがでたり毛が抜けて被毛が薄くなったりします。自然に治まることもありますが、人にも感染するため早急に診察を受けてください。
毛包虫症
もともと毛穴に住んでいる毛包虫というダニの仲間が過剰に増えることで起こります。顔や脚によく発生し、発疹がでたり毛が抜けたりします。健康な成犬では発生することはまれですが、幼犬や免疫力の低下した老犬、病気の犬に症状が現れます。幼犬は自然に治ることもありますが、全身に広がることもあります。その場合は治療が必要です。また、免疫力が低下した犬の場合、完治することは難しいのですが、薬でコントロールしながら症状を抑えます。
アレルギー性皮膚炎
環境中のアレルゲンによって皮膚の痒みが起こるアトピー性皮膚炎、食物が体内でアレルギー反応を起こし皮膚炎や消化器症状を起こす食物アレルギーがあります。血液による検査を行うことで何アレルギーなのかを特定することが可能です。
眼の充血・眼ヤニ・涙
結膜炎
外傷、異物、細菌やウイルス感染、アレルギーなどにより、白目とまぶたの裏側が赤くなり、眼を痒そうにしたり、涙や眼ヤニが出たりします。軽度の場合には自然に治まることもありますが、症状が強いときや続くときには診察を受けるようにしてください。
乾性角結膜炎
涙の分泌量が減少し、角膜や結膜の表面に炎症が起きる病気です。ベトベトした眼ヤニが多量に出てきたり、結膜が赤くなったり、角膜が白く濁ったり、黒い色素が沈着したりなどの症状があります。慢性化すると視力に影響がでる場合がありため、早めに診察を受けてください。
お腹がふくれている
胃拡張胃捻転症候群
胃がねじれてしまう胃捻転を起こすと腹部が急にふくれてきます。典型的な症状としては、嘔吐の動作はするのに何も吐かないといったものがあります。放っておくと短時間のうちに状態が悪くなり、死亡してしまうこともありますので、早急な診察が必要です。大型犬に多い病気ですが、ミニチュア・ダックス、シー・ズーなどの小型犬にもみられることがあります。
腹水
心疾患やフィラアリア症による右心不全、低蛋白血症による腹水、腹腔内腫瘍からの出血、腹膜炎などにより、お腹の中に液体が貯留している状態です。咳や活動性の低下、ショック状態など他の症状も伴い、病態の進行も早いため、早めに診察を受けてください。
腹腔内腫瘍
お腹の中に腫瘍ができ、それが大きくなることで腹部がふくれます。また、腫瘍が破裂することで出血したり、腹膜炎を起こすと全身状態が重度に悪化し、腹部がふくれてきたりします。状態が悪いときには早急に診察を受けてください。
子宮蓄膿症
子宮に細菌が感染して膿が溜まる病気です。中~高齢の避妊していない雌犬に多くみられます。膿の量が多くなるとお腹がふくれ、その他、陰部からの排膿、水をよく飲むようになる、嘔吐などの症状も現れることがあります。進行すると敗血症や腹膜炎を起こして重症になりますので、早めに診察を受けてください。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎という臓器からホルモンが過剰に分泌されることにより起こる病気で、中年齢以上の犬に多く発症します。お腹がふくれる腹囲膨満、多飲多尿、食欲の亢進、脱毛などさまざまな症状がみられます。疑わしい場合は血液検査・ホルモン検査を受けましょう。
痙攣がある
てんかん
脳に異常興奮が起こって、体の一部や全身の筋肉が痙攣を起こす病気です。症状が出ていない時には正常犬と変わりがありません。単発で短時間の痙攣の場合は命に関わることは少ないのですが、繰り返し痙攣を起こす場合には脳障害や命に関わることも考えられます。発作の間隔が短くなってきていたり、いつもより硬直・けいれん時間が長いといった場合は早めにご連絡いただくか、ご受診して下さい。
脳炎
ジステンパーなどの感染症や自己免疫疾患によって痙攣を起こします。痙攣が起きていないときにも意識レベルが低いなどの異常がみられるケースが多く、命に関わる可能性が高いので至急診察を受けてください。
脳腫瘍
脳に腫瘍ができることにより痙攣を起こします。痙攣が起きていないときも、意識レベルが低かったり、異常行動といった症状がみられたりすることがあります。早めに診察を受けてください。
低カルシウム血症
血液中のカルシウムの濃度が下がって痙攣を起こします。授乳中の母犬や低アルブミン血症の犬で起こりやすい病気です。点滴でカルシウムを補充しないと痙攣が続き、命に関わってしまいます。至急診察を受けてください。
腎不全
腎不全で尿毒症になると痙攣を起こすことがあります。急性・慢性の腎不全のどちらでも起こります。命の危険がある状態ですので、至急診察を受けてください。
中毒
有機リン系の農薬やなめくじ駆除剤、シキミなどの植物、各種の薬などを食べた後、痙攣を起こした場合は中毒を起こしています。至急診察を受けてください。
しこりがある
膿瘍・肉芽腫性炎
皮下に膿が溜まったり慢性の炎症が起こったりすることで、しこりの様になることがあります。外傷や異物、感染、自己免疫疾患など、原因によって抗生物質や異物の除去、免疫抑制剤などで治療します。早めに診察を受けてください。
腫瘍
体の細胞が異常増殖している状態ですが、良性・悪性の判断は見た目ではできないため、検査で判断します。悪性腫瘍の場合は転移したり、大きくなって切除しきれなくなったりしてしまいますので、早めに診察を受けてください。
尿の色が赤い
膀胱炎
細菌感染や尿結石が原因で膀胱に炎症を起こして、血尿を出すことがあります。その他の症状として何度も排尿姿勢を取るが少ししか出ていないといった頻尿という症状がみられます。慢性化すると治りにくく、膀胱結石が形成されていることもありますので尿の検査と治療を受けましょう。
溶血性貧血
自己免疫疾患や玉ねぎなどの中毒物質、血液に寄生する微生物による感染症で赤血球が壊れ、尿中に赤血球の成分が出てきて尿が赤くなる血色素尿を起こすことがあります。頻尿がないのが膀胱炎との違いです。進行すると貧血を起こし、命に関わってくるので至急診察を受けてください。
粘膜の色が普段と違う
青白色
大量の出血やショック状態、重度の貧血などのときに粘膜は青白くなります。いずれも命に関わる症状ですから至急診察を受けてください。
紫色
紫色になるのはチアノーゼといい、体が酸欠状態のときに起こります。心疾患や呼吸器疾患を原因に起こります。チアノーゼを起こしているときは危険な状態です。できるだけストレスをかけず安静にさせ、至急診察を受けてください。
黄色
ビリルビンという色素が沈着することにより起こります。いわゆる黄疸です。溶血性貧血や玉ねぎ中毒など赤血球が急速に壊れる病気、肝不全や胆管閉塞などを原因に起こります。いずれも重篤な状態ですので、できるだけ早く診察を受けてください。